海上の幹部自衛官として約8年間勤務した後、平成13年9月陸上自衛隊の予備自衛官に志願、現在JICA(国際協力事業団)で活躍中。

平成20年10月24日~28日に予備自衛官として、福岡駐屯地でおこなわれた予備自衛官招集訓練に出頭、無事訓練を修了。

北アフリカ、モロッコ王国でJICAの派遣により、合気道の指導を開始。

現在、カサブランカに居を構えてモロッコ全土の巡回指導を行っている。
当国の合気道人口は約80,000人、道場の数も200以上となり、私が直接手を取り指導した生徒数も述べ20,000人を超えた。

モロッコはイスラム圏で一番の武道人口を持つ国なのである。日本から西へ約12,000キロメートル離れたイスラム圏のモロッコでなぜ武道が盛んなのか?
第一の理由を極端に言えば、「武道の精神的側面に対して共鳴」と言えるだろう。
そう、武士道とイスラムに共通項が多く存在するのである。 簡潔で、清らで、無駄がなく、正直で、己を無にして他に尽くす心。

私はよく生徒に「なぜ、武道が好きなのか?」と尋ねることがある。当然、十人十色の返事が返ってくる。
一般によくある答えが「今より強くなりたい」「更に健康になりたい」等、他のスポーツでも代用できる様な答えである。
しかし、こと上級クラス(黒帯)に関して言えば、私の経験から約五割強の生徒が「武道が好きな理由」として次のような深遠な答えをする。
「神(アッラー)への祈りを終えた後の心の静寂と、稽古を終えた後の心の静寂に共通のものを感じるからです」
更に「身体的、精神的ストレスの解消と発散は多くのスポーツで可能ですが、心の静寂と平安は得ることは出来ません。しかし、武道では其れが出来るのです」と。

武道の精神的側面とその深さにおいて人間の一普遍的な価値観に到達しているが故に宗教、文化、人種を超越して受け入れられているのである。

戦後、本来の目的であった精神修養として武道が影を潜めて、スポーツとしての武道、競技としての武道が主流の日本にあって、我々日本人は、この12,000キロメートル離れた武道家達になにを提示できるだろうか。
本家本元の武道国、日本でその普遍的精神性が希薄になり、脆弱になっている。
スポーツと武道の違いすら知らない多くの日本人は、その価値を知らず、学ぶこともない。しかし、地球の反対側でその価値を知り、学ぶ者たちが多数存在するのである。

戦後、物質的繁栄の陰で捨て去ったもの、忘れ去ってきたもの、否定してきたものの中に実は我々を支える精神の根幹があるのではないか。遠い異国の地でこのことを今更ながら痛感するのである。

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